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青い花のイメージ 糖尿病・・・インスリンと血糖

 

糖尿病の「糖尿」って?

尿に糖が混ざることです。

 

尿に糖が混ざる?

尿を作っているのは腎臓です。
腎臓は血液中の老廃物や余分な水分を尿として体外に排泄したり、からだに必要な栄養成分を再吸収する仕事をしています。
血液中の糖の量が異常に多くなると、腎臓は糖を再吸収しきれなくなり、尿に糖が混ざって排泄されてしまうのです。

 

どうして血液中の糖の量が多くなるのでしょう?

私たちが普段食べたり飲んだりしているものは、脂質・糖質・タンパク質という栄養素に分けられます。
これを3大栄養素といいます。

この中で糖質はからだを動かすためのエネルギー源である「ブドウ糖」になり、血液中に運ばれます。
この血液中のブドウ糖を「血糖」と言います。
食事をすると血糖の量は増え、血糖値は上がります。

しかし、数時間後には食前の値まで血糖値は下がります。
なぜでしょう?

私たちが生きていくためにはエネルギーが必要です。
エネルギーは食べることで得られるブドウ糖によって作られます。
しかし、ブドウ糖は単独ではエネルギーになりません。
すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンの働きかけによって細胞の中へ取り込まれ、初めてエネルギーとして利用したり、貯蔵したり出来るのです。
インスリンは食事によって上昇した血糖に応じて、すい臓から分泌され、肝臓へと運ばれてブドウ糖を細胞の中へ取り込む働きをしています。
インスリンがブドウ糖の使い道をうまくコントロールしているので、一時的に上昇した血糖も数時間後には食前の値まで下がります。
インスリンは体内で唯一血糖を下げることの出来る大切なホルモンなのです。

 

インスリンの仕事

1. ブドウ糖が細胞の中へ取り込まれるように、働きかける。

2. エネルギーが切れてしまわないように、ブドウ糖を貯蔵しておくことの出来る物質、動物性デンプン「グリコーゲン」に変えて肝臓や筋肉に蓄積する。

3. 肝臓で蓄積されず余ったブドウ糖を中性脂肪として脂肪細胞の中へ取り込む。

 

細胞の表面には「インスリン受容体」という鍵穴があり、この鍵穴にあう鍵を持っているのがインスリンです。
インスリンは、食事をしてたくさんのブドウ糖が血液中にやってくると、すぐに鍵を開けてブドウ糖を細胞の中へ入れる仕事をしています。
ところが、インスリンの数が足りなかったり、鍵が壊れていたり、また、インスリンの働きが悪かったりするとブドウ糖を細胞の中に入れることが出来ず、ブドウ糖はどんどん血液中に溜まってしまいます。
このように血液中にブドウ糖があふれてしまった状態を「高血糖」と言い、この状態が続く病気、それが糖尿病(=2型糖尿病)なのです。

 

インスリンの量が低下したり、インスリンの働きが悪くなると?

ブドウ糖が細胞の中へ取り込まれず、エネルギーとして燃えることが出来ません。
食べても食べてもエネルギーに変えることが出来ないので、元気が出ないのです。
また、私たちが生きていくためには、常にエネルギーがいるのです。
何も食べていない時間、例えば眠っている間もエネルギーは必要です。
このような時、肝臓では貯蔵しておいたグリコーゲンをブドウ糖に分解し、血糖値が下がり過ぎないように維持しています。
糖尿病になるとブドウ糖をグリコーゲンに変えて、肝臓に蓄積しておくことが出来なくなります。
肝臓に貯蔵しておくことも、細胞に取り組むことも出来ないので、行き場をなくしたブドウ糖が血液中に溜まり、空腹時の血糖も高くなってしまいます。

ブドウ糖があふれた血液は、いわばコーヒーなどに入れるシロップのようになってしまいます。
しだいに全身の血管を傷つけ、さまざまな障害をもたらします。

 

初期症状は?

初期の糖尿病では明らかな自覚症状はありません。糖尿病を発症し、5〜10年経って初めて、症状が現れます。

 

1. 尿の回数と量が増え、のどが異常に渇き、水分をたくさん摂る

腎臓が血液中にあふれたブドウ糖を再吸収するために薄めようとして、大量の水分を出すため尿の量が増えます。
そのため、体の水分量が減り、のどが乾き、たくさん水分を摂ります。

 

2. 体がだるい、疲れやすい

ブドウ糖が細胞の中へ取り込まれないため、からだを動かすためのエネルギーが足りず、だるさ、疲れやすさを感じます。

 

3. 食べているのに痩せる、また、空腹感を強く感じ、たくさん食べる

ブドウ糖を十分にエネルギーに出来ないかわりに、筋肉や脂肪を利用してしまい、食べているのに体重は減るという事があります。
また、エネルギー不足から脳が空腹だと感じてしまい、たくさん食べてしまいます。

 

これらの症状は、普段意識していないとなかなか糖尿病と結び付けて考えるのは難しく、そのため合併症を引き起こしてから気付く人も少なくありません。
(その他、体が痒い、できものができる、傷が治りにくい、集中力が無いなどの症状が出ることもあります)
高血糖の状態が続いていくと合併症は着実に発症し、進行していきます。
また、一度糖尿病になると一生治ることはありません。

 

合併症を防ぐには?

インスリンの働きを手助けしてあげればよいのです。

2型糖尿病の場合、インスリンの作用に問題はあるものの、インスリンは出ています。
インスリンの働きが悪いのに、次々に食べ物が運ばれてきたのでは、インスリンは働きの限界を超えてしまいます。
インスリンがブドウ糖を処理出来るくらいの食事を摂れば、ブドウ糖が血液中にあふれることはありません。
また、食事から得たブドウ糖を出来るだけエネルギーとして消費することも有効です。
筋肉に取り込まれたブドウ糖は身体を動かすことで消費されます。消費されると同時に新たなブドウ糖が筋肉に取り込まれるため、血液中のブドウ糖を減らすことが出来ます。
しかも、身体を動かすと細胞がよりブドウ糖を取り込みやすくなるのです。
さらに必要であれば、薬を飲んでインスリンの分泌を助けたり、不足分のインスリンを注射で補い、血糖の上昇を抑えます。

 

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このように血糖が上がり過ぎたり、上がったままの状態にならないようにすることを「血糖をコントロールする」と言います。
糖尿病で怖いのは、長年の高血糖により、血管が傷つき合併症を起こすことです。
少しでも早く気付くこと、気付こうとすることが大切なのです。
自分の“今”の状態を正しく知り、食べる物を選び、身体を動かして血糖コントロールが出来れば、進行を抑えることも、合併症を防ぐことも出来ます。

「血糖をコントロールする」とは「自分自身をコントロールする」ことです。
「何を食べるのか」「どんな運動をするのか」を決めるのは医師ではありません。
患者自身です。
つまり、糖尿病は患者自身が治療していく病気なのです。
少しの変化と工夫次第で、元気に暮らしていくことが出来るのです。

 

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