料理をする時やってはいけないこと、注意点
−揚げ餅について−
でんぷん製品の餅を使った揚げ餅は、今まで腎臓食の定番料理のように扱われていました。大手低たんぱく食食品メーカーのホームページで紹介されていたほどです。実際、非常に低たんぱくでカロリーも摂れる上おいしく、いろいろな料理に使える魅力的なものでしたが、火加減や揚げ時間をわずかでも間違うと破裂する非常に危険な料理法であるのがわかりましたので、絶対にやってはいけません。油を大量に跳ね上げ、やけどや火災の危険があります。 2011.3.19
私どもも何度も作っていた定番料理でしたが、最後に作った時、破裂しないよう餅を小さめにカット、火は弱火と中火の中間程度だったでしょうか、いくつもの餅が何度も破裂し、油を5、60センチほど跳ね上げました。そのため少し強い断定的な否定表現になってしまいました。その点は修正させていただきたいと思います。しかし、やはりこの調理法は、古くからある定番とはいえ、もう私どもではお勧めできません。その後の経緯や調べたことも含め、少し追記させていただきます。
この低たんぱく治療食品メーカーさんにはすぐ連絡を入れ、揚げ餅の危険性について注意書きを入れてくださるようお願いしました。この製品は、普通のお米(この製品ではもち米と思われます)から乳酸菌による発酵を用いてたんぱく質を低減させるタイプのものでした。そのため、低たんぱくではありますが、でんぷんから作られた低たんぱく餅と比べると普通のお餅に近い組成なのかもしれません。
インターネットの検索サイトで「揚げ餅 破裂」「揚げ餅 爆発」等のキーワードで検索すると、揚げ餅が破裂した例が多く見受けられます。熱した油中に漬ける揚げ物の調理法だけでなく、フライパンで油を多めにひいた比較的安全かと思われる調理法でも破裂するときは破裂しています。水分が多いのか、トッポギ(外国のお餅)はより危険な印象を受けます。いろいろ調べてみますと、どうやら調理の際の破裂には共通点があるようです。加熱されている外側が先に硬く強い膜になり内部の水分を閉じ込め、次に内部の水分が水蒸気となって膨らみ圧力が高まり、外側部分を破壊して一気に吹き出す(破裂する)、というものです。
良く知られているものにチュロスがあります。ドーナッツと違い粘り気の多いチュロス生地は、丸い断面で油に絞り出すと破裂します。必ず星形の断面にして絞り出します。内外の温度差を少なくし、また、内部の水蒸気が抜けやすいようにしていると思われます。溶き卵を工夫せずにそのまま電子レンジに入れますと爆発(実際に体験しました)します。ニョッキも揚げると危険なようです。味噌汁も良くかき混ぜるなど注意しないと、鍋を火にかけても、電子レンジにかけても、レンジから取り出してしばらくしてからでさえも爆発(突沸)することがあります。
でんぷんから作られた低たんぱく餅も同じように破裂するかどうかはわかりませんが、水分を含み、粘り気が強い食品を揚げるということは、破裂の条件に当てはまっています。破裂に備えて調理されるか、フライパンでごく少量の油で蓋をして焼くなど工夫されるか、餅と油は相性が悪いと、この調理法を諦めることをお勧めします。美味しさやカロリーアップよりは安全を優先すべきではないでしょうか。 2015.1.2加筆修正中