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青い花のイメージ 眼、視力への障害…糖尿病性網膜症


 

糖尿病性網膜症について…

糖尿病を発症後、7〜10年ほど血糖コントロールできなかった患者の約50%に発症します。糖尿病による網膜症は、長い間成人の途中失明の原因第1位でした。眼球の内側、後ろの方にある網膜という部分に異常が起こります。

 


 

眼の基本的な構造と仕組み…

眼の仕組み、人の眼

 

眼の仕組み、カメラとの比較

人の眼は、基本的な構造やしくみがカメラと良く似ています。虹彩(しぼり)で光の量(眩しさ)を調節し、水晶体(レンズ)で光を曲げて集め、網膜に映像を写します。

 

眼の仕組み、断面図、網膜

図の黄色で塗られた薄い膜が網膜です。
図中の凸レンズのような組織、水晶体により曲げられた光が網膜に焦点を結び、眼で見た映像が、映画館のスクリーンのようにそこに映し出されます。わずか厚み0.3mmの網膜の中には、毛細血管(図の紫色の部分)と視細胞(図の黄色の部分)がぎっしりと詰め込まれています。

 


 

網膜は眼で見た映像を実際に読み取る、大変重要な役割をしています。厚みはわずか0.3mmほどですが、毛細血管と視細胞が密集した精密な器官です。毛細血管が集中しているということは高血糖による血管の傷害に非常に弱いということでもあります。血糖コントロールを怠ったり、糖尿病自体を放置したりしていると、網膜の毛細血管が詰まったり壊れたりして網膜自体も傷んでいきます。
さらに放置していると、網膜に血液が届かず、網膜が栄養不足、酸素不足で死に始めますが(軟性白斑ができる)、網膜の中心が壊れない限り見え方に異常を感じにくく、この状態になってもまだ自覚症状のない方が多いようです。
次の段階では、死に始めた網膜に栄養と酸素を運ぶために「新生血管」という異常な血管が出来ます。この血管は細くてもろいため、わずかなきっかけで破裂して大きな出血(眼底出血)を起こしてしまいます。眼底出血は失明に直結する大変恐ろしいものです。また、新生血管は網膜と硝子体をくっつけてしまい、加齢変化で網膜と硝子体が離れる際に網膜剥離を起す原因にもなります。

 

正常な網膜…

正常な網膜

 

激しい病変を起こした網膜…

出血や網膜はく離を起こした網膜

 

 

増殖網膜症が悪化して起きる病変と実際の見え方…

出血や網膜はく離を起こした時の見え方

 

網膜の傷害が糖尿病性網膜症の末期といってよい「増殖網膜症」の段階に進んでいても、病変が網膜の中心部「黄斑」に及ぶか、眼内に大きな出血をして視野に大きな欠けができるまで眼の異常に気づかず、手遅れになる人が多くいます。網膜の状態が悪くなってから慌てて治療をしても良い結果は出ません。網膜を悪くしないこと、

つまり、
・糖尿病とわかったら網膜が悪くなる前に血糖コントロールを開始すること
・その後も血糖コントロールをしっかりと行い継続すること
・自覚症状がなくても定期的に眼の検診を受けること

これらが大切な要点です。

(※血糖コントロールを長期間行わず、網膜の状態が非常に悪くなっているところへ急な血糖コントロールを行うと、網膜症を悪化させる場合があります。素人判断、素人治療をせず、病院へ行って医師とよく相談し、医師の指示に従ってください。)

 


 

毎年3000人もの人が、糖尿病により失明しています。
「糖尿病といわれたが、別に体のどこも悪いと感じないから」
「眼が悪くなるといわれたけど別になんともない、良く見えているから」…

「なんともない」のではありません。かなり悪化しても異常を感じにくいだけです。糖尿病の放置や血糖コントロールの放棄がどれほど危険かを知ってください。

糖尿病である、または糖尿病の疑いがあるといわれたら、自覚症状が出ていなくても至急眼科を受診することを強くお勧めします。網膜の異常は自覚症状が出にくく、見え方に異常を感じたときには手遅れになること、坂を転がり落ちるように失明に向かうことが多いからです。目から入ってくる情報は、すべての感覚器官から入ってくる情報の80%以上を占めるといわれています。その視力を失ってしまうのは大変な損失となります。

 


 

眼底検査のすすめ…

網膜の血管は私たちの体の中で、切開などをせずに直接肉眼で見ることが出来る唯一の血管です。糖尿病における眼底検査では、血管の痛み具合を直接観察することができ、全身の血管の状態を知る手がかりになります。症状が安定していても定期的に診てもらうようにしましょう。

 

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